島が教えてくれたこと20260307



島の時間

潮の満ち引き。
風の向き。
光の角度。

ゆっくり流れているようで、
気づけば静かに遠ざかっている。

朝の光が山を照らし、
夕暮れが海の色を変える。

その移ろいの中に、
島の呼吸がある。

島の人は、
その流れに逆らわない。

急がず、焦らず、
必要なときにだけ動く。

風景と同じ歩き方。

その歩幅に、
私は何度も立ち止まった。

島の呼吸

島には、静けさがある。

風が草を揺らし、
波が砂を転がし、
鳥の声が空気に触れる。

自然は語らない。
けれど、沈黙しているわけでもない。

気配だけが、
静かに残っている。

耳を澄ます。
それだけで十分な場所だった。

島に生きる人 

島の人には、
島の人の距離がある。

急がず、遅れず、
相手の気配を読むように在る。

声よりも距離。
助けるよりも見守る。

踏み込みすぎないという、
静かな礼儀。

外でも内でもない、
あいだに立つと、見えてくるものがある。

朝の挨拶。
港での短い言葉。
草を引く背中。

そのどれもが、強くなく、確かだった。

消えるものと残るもの

島には、静かに消えていくものがある。

役目を終え、風の中にほどけていく。

古道は草に覆われ、
賑わいは風の通り道になる。

ただ、時間が元の場所へ戻るだけ。

残るものもある。

人と人との、静かな関わり方。

手を出しすぎないこと。
急がないこと。見守ること。

そのやさしさは、
風景よりも長く残る。

私は、
そのあいだに立ちながら、
それを受け取っていた。

島とこれからの私

島風の中に立つと、
胸の奥が静かに揺れる。

懐かしさとも、
郷愁とも少し違う、
淡い感覚。

気づかぬうちに、
立つ場所を許されていたような、
そんなやわらかさがあった。

島は何も求めない。
何も語らない。

島のすべてはわからない。
島の人のようにも生きられない。

それでも、島の時間に触れ、
風に耳を澄まし、
歩き方を見つめてきた。

行き着いたのは、
理解ではなく、敬意だった。

そして、
この島で出会った人たちの気配に、
私は静かに支えられていた。

言葉にはしないまま、
受け取ってきたものがある。

そのことに、
深く、深く、心から感謝しています。

島は今日も、
何も言わずに在る。

その沈黙を、
これからもそっと見つめていたい。

2026-03-07 | Posted in Blog, UnclassifiedComments Closed 

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